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Entry 140   Permanent LIN K

BRAINDEAD

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ブレインデッド/Braindead(1992)
監督:Peter Jackson ピーター・ジャクソン
出演:Timothy Balme ティモシー・バルム  他


【注意】
この記事にはネタバレ表現が含まれています。
鑑賞予定の方の閲覧はご注意ください。



知る人ぞ知るホラー/ゾンビ映画のある意味最高峰。監督は「ロード・オブ・ザ・リング」シリーズや「キングコング」で有名なあのピータージャクソン。廃盤になったDVDはAmazonのマーケットプレイスで3万5000円からという高騰っぷり。この手の映画でこれを越す映画はないでしょう!そう、悪趣味っていう点では!!!

物語はどっかの秘境めいた島から始まる。伝説のラットモンキーという猿を求めてこの島にやってきた探険家は、無事それを手に入れて島を脱出する途中で原住民に襲われる。ちなみにこの原住民、「キングコング」のそれを彷彿とさせる。きっとピーター・ジャクソンの趣味なんだろうなあ。そして原住民とのイザコザでラットモンキーに腕を噛まれる探検家。それを見た現地のガイド「これは助からない」と潔く(というか素早く)ナタで腕をスパーン!他の所にも傷を発見、またスパーン!最後には首をスパーン!
これが冒頭である。・・・どうです、笑い、いや期待せずにはおれぬこの衝撃のオープニング。冒頭からわっくわくです。そして見事、最後までピータージャクソンは期待を裏切らなかった。さすが(今は)巨匠!映画オタクの極み!オタクばんざーい!

こうしてラットモンキーは無事(?)ニュージーランドの動物園へ売り飛ばされる。主人公はその町に住む気弱な青年ライオネル。彼には絵に描いたような意地悪いママンがいて、いつもこき使われているのだが、何故かマザコン気味。ある日こっそりデートに来た動物園で、そのラットモンキーにデートを尾行していたママンが噛まれてしまい、ゾンビになってしまう。ゾンビになってもママンを養い続けるライオネル。ママンに噛まれるとゾンビになるため(感染型)、ライオネルの養う家族(ゾンビ)はだんだん増えてゆき、それが叔父にバレ死体愛好者と間違われ家を奪われてしまう。地下室には鎮静剤でおとなしくしているゾンビがいたのだが、手違いでゾンビに興奮剤を与えてしまい、ちょうど新居祝いでパーチーしていたところへゾンビが乱入、阿鼻叫喚の地獄絵図となってしまう・・・

とにかくこの映画に関してよく言われる「至上最高の血糊の量」これは現在でも記録は破られていないのではないだろうか。前述通り、後半の(元)ライオネル邸でのゾンビ大量殺戮シーンは圧巻で、いや圧巻と言えば圧巻なのだが、なんというか・・・とにかく滅茶苦茶である。逆光の元ライオネルa.k.a.元気弱マザコン青年がヒーローの如くババーンと芝刈り機を持って登場し、その場にいるゾンビを手当たり次第ミンチにしてゆくシーンは、映画史に残る素晴らしい、いやインパクト絶大なシーンではないだろうか。何より気持ち悪さを全然感じさせず、むしろ爽快感があるのが凄い。・・・いや、観る人によっては相当気持ち悪いのかも知れないが。画面は全て血の赤一色で、主人公ライオネルもその恋人パキータも、全身血でずぶ濡れ(返り血がかかったというより血のプールでひと泳ぎした感じ)で、そのぐちゃぐちゃ血みどろ状態でのキスシーンは他に類を見ない。

だが、この映画の凄いところはこの「芝刈り機ミンチシーン」だけに留まらない。前述した冒頭のシーンからノンストップでこれでもか、と観る者のツボを揺さぶってくる。・・・勿論、ツボじゃない人には全然面白くもなんともなく、むしろ不快なだけであるということは明記しておく。

まずママンがラットモンキーに噛まれるシーン。動物園じゅうに響き渡る大絶叫をかましたあと、ママンはラットモンキーを靴で捻りつぶしてしまうのだが、そのキレっぷりがたまらない。また踏み潰されたラットモンキーはこれでもか、というほどぐっちゃぐちゃになってしまう。
ちなみにラットモンキーは全てコマ撮りのアニメーションでつくられており、ここにも「ハリーハウゼンに心酔している」というピーター・ジャクソンの趣味が垣間見れる。
具合が悪くなって寝込んでしまったママンは、翌日来客の前で腐り落ちた耳の入ったスープを飲んだりとこれまたかましてくれる訳だが、具合の悪い体で来客に会おうとしたママンの頬の皮膚がベロンと捲れてしまうシーンでは、「これじゃ人に会えない、なんとかして!!」と論点のずれた要求をしてくる。そんなママンにライオネルがしたことは・・・接着剤で皮膚を貼り付けたのだ!「これで大丈夫」・・・いや、何が大丈夫なのか。そう、この映画、出てくる人みんな基本的にずれてるのだ。そこがまあ、最高なわけなんですけど・・・
墓地で颯爽と現れた神父は華麗な蹴りでバッタバッタと襲い来るゾンビをなぎ倒し(後にゾンビ化)、ライオネルがゾンビ用に鎮静剤を買いに行った獣医師はナチの香りがぷんぷん、ライネルから家をぶんどった叔父はゾンビ相手に大乱闘、ゾンビはゾンビで色目使い合った挙句キッチンで交尾してベイビーが生まれ、ライオネルはそのベイビーを乳母車に乗せて散歩中、暴れるベイビー相手に幼児虐待(?)の限りを尽くし(ある意味正当防衛であることは言っておく)、とにかく次から次へと見せ場の嵐だ。

正直、ここまで凄いとは思っていなかった。芝刈り機虐殺は知っていたので、せいぜいそんなもんかと思っていた。これは凄い。ここまで凄い映画は観たことがない、ある意味で。ちなみに個人的には芝刈り機よりカンフー神父のほうが好きだ。

しかし、ただそういった悪趣味が全開なだけでは、この映画はここまでカルト化していないのではないだろうか。それは、「母親からの自立、母親の子離れ」という、確立したテーマを、物語全編を通してしっかりと貫いているという点にある。ここまで様々な要素を詰め込んでいるにも関わらず、そのテーマは最後まで揺るぎ無い。強烈なデテールにぶれることなく常に提示されているのである。そしてラスト、巨大モンスター化した母親の子宮をぶち破って生還するというくだりで、そのテーマはストーリーとともにとてつもなく見事に収束を迎える。ここまで滅茶苦茶なことをして、かつテーマ性を維持しストーリーと調和させ、そして見事まとめあげた映画を今までに観たことがない。ロメロ映画などもこの類に入るのだろうが、彼の描写の方向性は本作と全く違っており、悪趣味スプラッタギャグを満載しつつここまでテーマを貫いた、という意味では他に比べるものがないだろう。物語中にそのテーマを絡めた伏線もしっかり張られており、表面的なデテールやブラックジョークだけでお腹いっぱいなのに、それ以上の満足を与えてくれる。

ピータージャクソンが「ロード・オブ・ザ・リング」に抜擢されたのは偶然ではなく、自分のオタクな趣味と「観客を楽しませるきちんとした映画づくり」のセンスを見事に調和することの出来る類稀な才能を買われたからであり、この映画はそのピーター・ジャクソンの才能を存分に味わえる傑作である。悪趣味なものが大丈夫な映画好きは、観て損はない、というより観るべきだろう。観て気分が悪くならないとは保証出来ないが・・・

2007/07/24   CINEMA     140TB 0   140Com 0  

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