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鉄コン筋クリート

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■鉄コン筋クリート/STUDIO4℃


思っていたより全然良かった。
原作は言わずもがな松本大洋の超有名漫画。きっと読んだ人は誰もが映像化不可能だと思っていたと思う。・・・少なくとも自分がこれを初めて読んだ7、8年前には。

架空の街「宝町」で生きるクロとシロの二人の少年。ある日クロがヤクザに手を出したときから、宝町、そして二人の関係が少しずつずれてゆく。
人間の持つ闇と希望、古きものと新しきもの、様々な対比を絡めながら、全てはゆっくりと誰も気付かないまま周縁からポロポロと崩れおち、新しいものー心、町、人、へとうつり変わってゆく。よきものとは何なのか、変わり続ける世界から、何をすくいとってゆけばいいのか。ひとつの小さな街、宝町という世界のなかで、人の心の深淵に迫る問いが繰り返されてゆく。

ーといったストーリーや、この作品が伝えようとしているものを、実は今回この映画を観て初めて理解した。原作にある松本大洋特有の抽象的描写、ことば遊び的MIX感をうまい具合に削りとり、単行本3冊分のストーリーをスリムに、そしてストレートに余すところなく描き出すことに成功している。何より内容がわかり易いのがいい。漫画と映画は全く違うメディアであり、今まで漫画を映画化して成功した例をあまり多く観ていないが、この映画はアニメという点を差し引いても、そういった意味でもとても優れている。松本大洋のもつトリップ感を失うことなく、物語を語るうえで最重要なストーリーをきちんと語りきれている。秀逸な脚本にはただただ敬服。

ただ、やはりこの漫画を映画化するにあたり、現代の技術(CGとか)がなくてはならないものだったことは痛いほど感じた。空を気ままに跳びまわるクロやシロのもつ浮遊感を描くには、やはりCGの存在は不可欠だったように思う。だが、決してミスマッチじゃない。むしろそれがピッタリと作品にはまって、心地よい映像美を見せてくれる。若干「マインド・ゲーム」寄りなタッチなのが気になるが、そこはもうしょうがないってことで。むしろ原作の好き嫌いの分かれそうなクセのあるタッチより、万人受けしそうで良いような気がする。

とにかく、内容の訴えるもの、CGアニメ技術、全てがベストな時期につくられたように感じた。作品のテーマである、全てを自分で選びとり、ある時は許容し妥協し、それでも譲れないものを持ち続ける・・・それって、今だからこそリアリティがある。わからない、自分の今の年齢24歳だからリアリティがあるだけなのかも知れない。でもきっと、祝日新宿ミラノ座を立見の満員にするのは、そう感じたひとたちがたくさんいたっていう証拠じゃないのか。昔漫画を読んでいてもいい。全く知らなくてもいい。松本大洋が嫌いでもいい。ちょっと、観てみて下さい。それはきっと、今、観るべき映画。それって最高じゃないですか。

2007/01/24   CINEMA     112TB 0   112Com 0  

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