■A SCANNER DARKLY/スキャナーダークリー
USサイト凝り過ぎ!かっこ良いです。
リチャード・リンクレイター監督(「ウェイキング・ライフ」の監督)の最新作ということで、かなり楽しみにして劇場に行ったのに・・・正直期待外れ!原作は言わずもがな、SF界の超巨匠で天才、フィリップ・K・ディック。
近未来、麻薬が氾濫する世界で、おとり捜査をするうちに自ら禁断の麻薬「D」の虜になっていってしまう麻薬捜査官の話。
原作は読んでないのでわかりませんが、ストーリーはディックらしく捻りの効いたなかに哀愁があり、SF的ガジェットも盛りだくさんで、いい。ただこれをわざわざ手間ひまかけてこのタッチにした意味があるのかと。これなら別に実写でいいんじゃん?と。観終わったあとそう言わざるを得なくなる。
「ウェイキング・ライフ」で使ったデジタルペイント・ロトスコープを今回も取り入れていて、かつ思想的な内容だった前作と違い一貫したストーリーがあるわけなのだけど、もうロトスコープを使った意味がわからない。「ウェイキング・ライフ」はそれこそ同一人物とは思えないレベルでシーンごとにタッチが変容し、その独特の浮遊感で観るものに衝撃を与えたわけだけど、今回はそれがない。終始忠実に実写をトレースしているのみ。たまに遊びゴコロなシーンも出てくるが、「えっ、これだけ?」で終わり、肝心のストーリーと同調して展開してゆくことは結局なかった。
今回はストーリーがきちんとあり、そのぶんあのやり方をしていたら観る者に混乱を巻き起こす可能性もあっただろう。だけど!例えば主人公がドラッグに溺れてゆく経過で、見るものがだんだん少しずつおかしくなってゆくとか!幾らでも工夫のしようはあったように思えてならない。アート・ディレクターでロトスコープのペイントソフトを開発したボブ・サビストンが制作開始早々に離脱してしまったのも納得がいく。ボブ・サビストンは今作もシーンごとにアニメーターの個性を出すやり方を強く主張していたそうだ。
終盤、意識しないと画面が実写に観えてくるのをなんとかこらえた。次こそは、あのやり方を生かす作品をつくって欲しい。ファンとして。
2006/12/22
CINEMA ・
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