先日開催された
Adobe Motion Awardですが、なんとか無事メイキングセミナーを終わらせることが出来ました。
セミナー開催にあたり、一番大変だったであろうFANWORKSさん、また主催者の方々、その他イベントの成功のためにご尽力下さったたくさんの方々に、心から御礼申し上げます。ありがとうございました。
また、わざわざ休日・年末・気候良し、のトリプルパンチでごったがえすラフォーレ原宿まで、ご足労頂いた方々も本当にありがとうございました。本当に原宿はもの凄い人でした・・・本当に・・・。
せっかくなので当日行った太郎「男女」のメイキングを、もうちょっと詳しく解説しようかと思います。
メイキング・オブ・男女1.企画光栄にも今回「男女」のPVを制作させて頂けることになり、まず考えたのは、「男女」の曲のもつ強烈なインパクトに負けない映像にしなければならない、ということでした。また、曲自体のイメージが強いため、誰もが思い浮かべてしまうような安直な映像にはしたくありませんでした。と言っても曲からかけ離れ過ぎていてもPVとして良くないと思い、あえてイメージの強い歌詞は無視し、テクノでPOPな曲調からアイデアを膨らませ、「80年代風スペースディスコ」というコンセプトをうちたてました。
裏話として、3本出した企画のうち、これ以外は「制服着ぐるみ和POPダンス」と「ごちゃごちゃコラージュ修学旅行」でした。最初「スペースディスコ」の企画が通ったとき、正直一番押したくない企画だったので「えー」と思いましたが、後から考えると他の二つは確かに安直さも感じられたので、最終的にはこの企画になって良かったと思っています。
■企画時に考えたイメージラフ2.絵コンテ絵コンテには出来る限りの時間を割きたいと思っています。
何故なら、特にCGやアニメーションは、1カットをつくるのにとても手間がかかり、いちいちつくり直していては時間が幾らあっても足りません。そこで、絵コンテは何度も推敲し、この時点で最終的なイメージを固めておく必要があります。そうしておくことで、後の作業もよりスムースに進め易くなってきます。
絵コンテは、この後の素材制作やモーションを組む際の、いわば設計図となるので、出来る限り完成度の高いものにするようにしています。
また、今回はこの時点で曲のタイミングのタイムコードを書き出し、ほぼそれぞれのカットごとの尺もフレーム単位で出しておきました。結局この時とったタイミングは、最終調整まで殆ど変わることはありませんでした。
■右が絵コンテ、左が実際に完成した映像。殆ど変わっていないのがわかると思います。3.ブルーバック撮影主役(?)のロボットのダンスのみ実写を使用するため、ブルーバック撮影を行いました。低予算のため母校のデジタルハリウッドで撮影させて頂きました。
ダンスは振り付けをしていますが、ダンサーと何回か打ち合わせをし、なんとなくのイメージを伝えるのみで動きは全てダンサー任せです。ロボットがロボットダンスをしても面白くないと思い、わざと生っぽい動きをして貰っています。
この振り付けのあるものとアドリブで自由に踊って貰うものとを、それぞれ125%スローと標準速度で踊って貰い、それを様々な角度からフルショットで撮影しました。ブルーバックが1面のみだったのでカメラは1カメです。
結局1分間のダンスを着ぐるみを着た状態で、数時間のうちに30回以上踊って貰うことになってしまいました。ダンサーの体力と頑張りにはいくら感謝しても足りません。
■撮影した映像の一部
カメラはsonyの業務用小型HDVを使用しています。SD納品に関わらず、データ量の重たいHDVを敢えて使用したのは、HDサイズでフルショットで撮影した画像をSDサイズに持ってくると、最大ウエストショットぐらいまでのアップとして使用することができ、また画像を縮小することでブルーの抜けの切れ目の画像の荒れを抑えることが出来るからです。HDVはただ綺麗な画質という他に、映像を2Dのように使用するときの柔軟性が魅力です。
この日の撮影時間はブルーバック設営、撤去も含めて6時間足らずでした。ダンサー、スタッフともに友人のアマチュアの方にお願いしています。
4.コンポジット撮影した映像はカメラからPCへキャプチャし、まずPremiereで音楽に合わせてトラックごとに全て並べます。そこから実際の映像に使用する箇所を選んで切り出し、再び音楽に合わせてカットごとに並べ直します。それをいったんTargaの連番ファイルでカットごとに出力しておきます。
次にAfterEffectsで出力したTargaファイルを読み込み、ブルー抜きをしてゆきます。その際には、カラーキーやKeylightといったエフェクトを使用します。このエフェクトを使うと、動画の指定した色味部分を透明にすることが出来ます。
■ブルー抜きをしてマスクをかけたAfterEffectsの画面
撮影してから気付いたのですが、ロボットが銀色なため、ブルーバックの青が反射して映り込んでしまっていました。そのため、上記エフェクトだけでは綺麗に抜けず、マスク切りという動画を一枚ずつ切り抜く作業を大量に行わなくてはならなくなりました。この作業は結局、使用したなかの殆どのロボットの部分で行っています。
そうして背景を透明にしたロボットの映像を、再びTargaの連番ファイルで出力しておきます。
5.2D素材制作2D素材制作は、まずデザインを考えることから始めます。
映像の背景や効果など、殆どの部分を構成するものなので、「80年代スペースディスコ」というコンセプトを崩さないように、まず資料を集めます。集めた資料を自分のなかで練り直し、デザインを考えてゆきます。
また、コラージュ風の背景が多かったので、大量の画像の切り抜きを行う必要がありました。今回は使用しなかったものも含め、150枚ほどの画像を切り抜いています。この作業はPhotoshopで行います。
この切り抜いた画像をPhotoshop上で色味を調整し、必要に応じてペイント等手を加えてゆきます。これをIllustratorに配置し、背景となるよう構成してゆきます。必要に応じてロボットの画像を試しに合わせてみて、パースが狂っていないかどうかも確認します。
■Illustratorで構成した背景
デザインは何度も修正し、FIXしたらレイヤーをAfterEffectsに読み込む用に整理します。これで、動かすための素材の完成です。
また、光などの効果に使うものや細かいもの(飛んでゆく猫など)、3D用のテクスチャなどもこの時点で制作しておきます。
こうした膨大な量の素材の管理は、全てAdobe Bridgeで行っていました。使い易くとてもいいソフトだと思います。
6.3D素材制作
■3ds Maxの画面
冒頭と最後に出てくるミラーボールのみ3Dを使用しました。使用したソフトは3ds Maxです。
今回はモデリングは一切せず、マテリアル(質感)と簡単なモーション(回転→爆発など)の設定のみです。
ラインと本体を別々にマテリアル設定をして出力し、AfterEffects上で色味を調整しています。
宇宙空間に浮かぶミラーボールっぽさを出すのにはかなり苦労しました・・・。
7.モーションづけ
■モーションづけをしているAfterEffectsの画面
こうして制作した素材を、AfterEffectsに読み込んで動かしてゆきます。
Illustratorのファイルを読み込み、レイヤー別にモーションやエフェクトをかけてゆきます。更にそこにロボットを合成します。ロボットの色味は、背景を見ながらこの時点で初めて調整します。音楽も読み込み、プレビューする際音楽ともずれていないか毎回チェックします。
個人的にですが、エフェクトを使わず、手付けでモーションをつけたりとデジタルななかでもアナログなことをするのが好きなので、あまりエフェクトは多用しません。言い換えれば、いつも同じような単純なエフェクトばかりしか使いません。その代わり、キーフレームのカーブやタイミングには1フレ単位でこだわるようにしています。
こうしたCGなどを動かすときにいつも心掛けているのは、サービス精神です。出来る限り、多くの動きを多くの箇所につけるようにしています。動きはあらかじめおおまかに考えてありますが、その場で思いついた動きはどんどん追加してゆきます。そのほうが観ていて飽きないし、何よりも単純な動きでもそれが重なりひとつの画面にまとまったとたん、こちらの予想外の演出を見せてくれたりします。また、苦労して制作した素材が動き出すというのは、いつになっても感動します。そういった理由もあり、私はこの作業が一番好きです。
8.編集、完成
■最終段階のPremiereの画面
こうして制作した映像をカットごとにTargaの連番ファイルで出力してゆきます。
出力したファイルをPremiereでカット順に並べてゆきます。音はこのとき初めて合わせます。(AfterEffectsで読み込んでいた音はただのガイドです)
タイミングは絵コンテ時にあらかじめとってありますが、もう一度自分の目と耳で動きがずれていないか確認し、微調整してゆきます。場合によってはAfterEffectsで動きを修正し、出力し直す必要も出てきます。
こうした最終調整を終え、完成となります。
2006/12/19
MY WORK
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105TB 1
105Com 1
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