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橘くんのバカ。/監督:
村松正浩先日、渋谷ユーロスペースにて
「ハヴァ・ナイスデー」を観て来た。
なんてったって、自分の元祖師匠、村松正浩監督の待望なる最新作「橘くんのバカ。」が上映されるのだ。観に行かないと夢枕に立たれる・・・祟れる・・・?
そんな訳では全くなくて、単にずっと観たかったので観に行った。「橘くんのバカ。」は元は
短編.jpというサイトで上映しているネットシネマで、何人もの「今が旬」な日本の若手監督が、「テーマは一日」「24時間以内の撮影時間」「DV」「尺はだいたい10分」という条件下で様々な作品を制作する・・・という企画のなかの一作品だ。今回は、それをネットシネマのみに留めず劇場での公開となった。それが「ハヴァ・ナイスデー」である。
短編.jpでの無料視聴期間をうっかり見逃していた自分としては、またとない機会であり劇場公開はありがたい限りである。そもそも根幹がアナログな自分にとって、どんなに安かろうが手軽だろうがあんまりPCで映画は観たくない。借りてきたDVDだって、なるべくPCじゃなくてTVで観たい。何故かというと生理的なところもあるので説明し難いが、とにかく音も画も劇場で観るのが一番だし。それが映画ってもんだ。絶対そうだ。
で、Aサイド全9作品観て来た訳だが、まぁ一言で言えば「予想通り」。
個人的に良かったのは「橘くんのバカ。」と「お別れのバラード」「大安吉日」。元々あまり最近の日本映画(主に青春系)は観ないので、なんとも言えないのだが、あとはまぁ似たりよったり・・・といったところ。「夕凪」や「その山を崩せ」も凄くまとまっていて、短編としての完成度は高くて、良いんだけどそれで?って感は否めない。どうせ短編をやるんなら、完成度は勿論だけどもっと冒険して欲しい。着眼点が凡庸というか。そういった意味でも、上記3作品は、そのなかではひときわ異彩を放っていて、良かった。短編をたくさん上映するなかで、目立つってとても大事なことだと感じた。
「橘くんのバカ。」は、メガネをかけた女の子が、昨夜久々に再会した男の子(が、橘くん)と、メガネを買いに行くという話。う〜ん、かいつまんで説明したかったけどうまく説明出来ません。とりあえず、その「メガネを買いに行く」過程がしっかりロードムーヴィーしている。10分ちょっとしかないのに!
そして、メガネを外していたからこそ見えたもの、逆に見えなかったもの、それをほんの些細なことながら、女の子の心情とうまくシンクロさせている。そしてその心情描写の見せ方が凄い。ちょっと強気な感じの女の子が、最後メガネをかけてうつむいてしまうところで終わる感じとか、これをつくったのが男性とはとても思えない描写だ。女の子の微妙な心理の変化を、映像に置き換えて、しっかり「映像」という文法論でみせるのが、やっぱり上手いし、センスを感じる。
一度しか観ていないので、トロフィーの意味とか、よく理解出来なかったところもあるのだが、その「よくわかんないけど、いい」みたいなのが、映画のいいところなんじゃないだろうか。あんまり説明的過ぎてもつまらないし、観客に考えさせる=観客に放り投げてしまう部分を残しておかないと、結局その映画は映画のなかだけで完結してしまい、観客は一方的にそれを押し付けられ、観させられた気分にされてしまう。
何処かで以前読んだけれど、「映画とは感情である」という言葉があった。大きかろうが小さかろうが人の感情の動きを追い、表現する、それこそが映画である、ということだ。しかし、人の感情とは簡単には説明出来ないほど複雑なものだろう。そう考えると、ちょっと観ただけで完全に理解出来てしまう映画というのは、逆に「映画らしくない」のかもしれない。
そういう意味でも、「橘くんのバカ。」は映画だった。全てを説明せず、余計な台詞やカットを挟まず、映像でのみ表現する。そういった映画をつくれる人は、もうあまりいないのかも知れない。
追記:次はもっとディープな女子の心理描写を是非観てみたいです。
例えば・・・
「気になる男子と一夜を過ごそうと画策する女子(19ぐらい)」とか。あ、そこ、吹き出さないように。
これは女サイドからの至って真面目な見解ですが、10代後半以降の女子のリアルな心理描写に、エロ(性?)は欠かせないと思うので。新作期待!
2006/10/28
CINEMA ・
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